2012年8月1日水曜日

タイマーIC 555のマルチバイブレータ

皆様、暑中お見舞い申し上げます。
 日々、暑くて暑くて、オリンピック見る以外は何事もやる気が低下する毎日。だれる...

 さて、前回紹介のLED照明。昼夜連続点灯ではないが、水耕栽培に使っている。が、いまいち効果があるのかないのか....。そんなこともあって、効果アップに間欠発光が良いらしいということで、LED照明のために試してみよう、と考えた。
 植物に対する間欠光の影響は?ということで調べたところ、植物工学研究所によると、400usec周期の光に対しての光合成速度が最も良いとの結果であったらしい。実験結果はサラダ菜に対して2usecから10msecと連続光の実験なので、その前後にもっと効率が高いところはあるかもしれないし、植物の種類にも因るかもしれないが、この結果の400usecとすると周波数では2.5kHzになる。
 前回用いたLED照明の電源モジュールには制御端子があって、そこの制御で点滅できるようになっている。今回は、その端子を使う前提で、パルスを生成する回路を、タイマーICいわゆる555を使ってみた。
 一応、シミュレーションしてみようと、NE555の回路を入れなきゃならないか...と思っていたが、ラッキー、先人に感謝。なんとQucs projectのdownloadのexampleページにfamous 555 timer macromodel and examplesとあって、555_examples_prj.tar.gz  があることを発見。ダウンロードして、開いてみると、555_Fig9.schがマルチバイブレータそのままの回路。もちろん、ICの555自体もサブサーキット構造で入っている。実際使うICがNE555やLM555、NJM555でも機能は同じなので問題ない。
 データシートの計算式を用いて2.5kHzの定数を求めてみた。
   
から、
 
ここで、C1=0.01uFとすると
 
 R1=10kΩとすると
 R2=23.8kΩとなる。
23.8kΩはE12系列には無いので、R2=22kΩとする。
 QUCSを使ってシミュレーションでやってみると以下のような回路定数で良さそうだった。
タイマーIC マルチバイブレータ
QUCSによるシミュレーション例
ただし、このexampleのプロジェクトデータで注意点がある。サブサーキットの中身を見ていると、timer_Discharge.schのトランジスタは入っているパラメータが少ないので、多少足した方が良いと思う。例えば、Vaf=0は、さすがにないだろう。Vafはアーリー電圧なのでとりあえず100とかにしておく。シミュレーションを実行してみて、この辺りが問題で、収束しなかったりエラー出たりすることがあるので、適当に入れてみるとよい。SPICEのディフォルト値よりもQUCSはパラメータの値が「0」の項目が多いので、より注意。所詮シミュレータ、使いようである。
上の回路のシミュレーション結果
シミュレーション結果でだいたい2.5kHz。こんなものでしょう。これ以上は定数を詰めても机上の話なので、後は実際試してみるしか無い。部品の許容差もあることなので、周波数調整はR2の一部を可変抵抗にして対応。抵抗±1%、コンデンサ±10%誤差として、10kΩの半固定抵抗と15kΩの固定抵抗で実力ギリ収まるだろう。趣味の回路だし、こんなものでしょう。
電源電圧も実際には12Vだけれども、データシートによると原理的に計算は変わらないから、そのままで。
 さて、作ろうと思ってもICもコンデンサも無いので、続きは次回、部品入手後に。